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Qualia


 
夜空に輝く火星の赤い光。
山に響く滝の音。
雨の日の匂い。
暗闇に飛び交う蛾の残像。
 
私たちが日常で触れる像や色、音などは、言語化することで同じような概念を共有することは出来ても、互いに全く同じ感覚を有することは出来ない。
そのような言葉では伝えることが出来ない意識に現れる感覚的質感のことを「Qualia(クオリア)」と呼んでいる。
 
写し出された自身の表象は、他者に触れた瞬間から私の元を離れ、境界は曖昧になり意味さえも消え、やがて新たな視点を得て別のイメージへと変容していく。
 
私はあらゆる事象を見つめ掬い上げ続ける。
それらが波紋のように広がり、見る人の様々な記憶や感情の中で自由に感じてもらえればと思う。
 
 

大木啓至