カエルと彼の人生について On the frog and his life
幼い頃、指先ほどの小さな干涸びたカエルを拾った。
それを他のがらくたとともに大事に箱にしまった。
十数年後、偶然その箱を見つけた。
カエルは骨だけになっていた。
私はその変化を美しいと思った。
見逃してしまいそうな小さな存在やありふれた風景の中に、私の視線は注がれる。
カメラは物の表層を写し出すに過ぎないが、写真として手の中におさめることで初めて、
些細なものたちに触発された感覚が存在するものへと変化してゆく。
それはいつも私に驚きと喜びを与えてくれる。
私は写真を集めている。
大木啓至